
高齢者人口の増加と社会の変化に対応するためです。

平均寿命の上昇と少子化などにより、2019年の日本の高齢者人口は3,589万人と過去最多です。
総人口に占める割合は約28.4%、つまり日本人の4人に1人強が高齢者なのです。
高齢者人口の増加は今後も続き、高齢者人口比率は36年に3人に1人、42年には2.6人に1人になるとの試算もあります。
一方で、都市部を中心に子が親の面倒を見る習慣が消滅し、老人が老人を介護する老老介護や一人暮らし高齢者が増えています。
こうした状況にそれまでの福祉の枠組みでは対応できなかったため、国は2000年に介護保険制度を導入したのです。
介護保険は5番目の社会保険として高齢者を支えています。

介護保険は、医療保険と同様に社会保険と呼ばれるしくみです。
そもそも、2000年以前の老人福祉法に基づく高齢者介護は、「長年にわたって社会の進展に寄与してきた老人に対して生きがいを持てる健全で安らかな生活を保証する」という弱者救済的な考えに基づいて提供されていました。
それに対して介護保険制度では、国民が生活する上での高齢化や介護などのリスクに備えて強制的に保険に加入させ、リスク発生時、保険加入者に対してサービスを提供したり、現金を給付したりします。
つまり、介護が必要になったときに、保険給付という形で面倒を見てくれるしくみなのです。